2010年

8月

11日

コラムVol.4 高橋和博(映写技師・撮影)

「へばの」→「祝の島」

 2007年の年末、「へばの」という映画を撮影した。

青森県六ヶ所村で生きる若い男と女の物語。映画は2008年の夏に完成。

怖いもの知らずの私達はポレポレ東中野大槻さんを強引に試写に誘い、

「ポレポレで上映したいんです!」と直談判。

あまりのアホぶりに断れなかったのか、勢いだけは伝わったのか、

監督含め、よく判らん連中の思いと勢いだけで作った自主映画の公開を大槻さんは了承してくれた。

その後怒涛のように宣伝活動が過ぎていき、20091月ポレポレ東中野での公開となった。

そんな中で中植きさらさんと知り合った。

彼女は何かと私達を気にかけてくれ、それが私達の励みにもなった。

そして彼女が「祝の島」というドキュメンタリー映画のスタッフをやっているという事を知った。

 「へばの」追加撮影でスタッフをしてくれた小谷忠典君の「LINE」という作品を見に行った時、

「祝の島」のチラシを目にし、劇場に足を運んだ。

 上関原発をめぐる祝島を題材にした映画という事しか知らなかったので、

自分が予想していたものといい意味で違っていた。

棚田で稲を育てるおじいちゃん、釣った魚に声をかける漁師さん、御墓参りをするおばあちゃん。

島の人達の日々の営みがゆったりとしたリズムで描かれていた。

そのリズムが心地よい。

印象的だったのは大晦日、おじいちゃん、おばあちゃん達がいつものように

茶飲み仲間の家に集まり、紅白歌合戦を見ているシーンだ。

来年も紅白が見られるだろうかと冗談を言い合い、

寝てしまったおばあちゃんにそっと毛布をかけてあげる。そうして静かに年が明けていく。

「へばの」でも主人公紀美の家で、紀美と恋人の治、紀美の父親とで紅白を見ながら、

年が明け、初詣に行こうとするシーンがある。

「祝の島」のあのシーンを見て、これを目指していたんだなあとあらためて思い、

かなわないなあと正直嫉妬した。

 映画は撮影も現場、上映活動も現場。だと思う。

「祝の島」現場真っ只中。さらに大きく広がってください。

 

             高橋和博(映写技師・『へばの』『泥の惑星』撮影)

 

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 201011月井土紀州の新作映画『犀の角』『土竜の祭』『泥の惑星』

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